「ノルド・ストリーム2」規制案でEU加盟国合意

欧州連合(EU)加盟国は8日の大使級会合で、ロシア産天然ガスをバルト海経由で直接ドイツに輸送する新たなパイプライン「ノルド・ストリーム2」に対する規制案の内容で合意した。厳格なEUルールの順守を求める欧州委員会提案の支持に回ったフランスなどと、これに反発するドイツの間で調整が難航したが、仏独がルールの適用に関してドイツに一定の権限を与える修正案を共同で提案し、最終的に承認された。加盟国、欧州議会、欧州委による三者協議で最終合意を目指す。

ノルド・ストリームはロシアが主導し、ドイツが全面協力するかたちで2010年4月に着工。11年11月に年間供給量550億立方メートルのパイプラインが稼働を開始した。14年には事業主体のノルド・ストリーム社に出資する露国営天然ガス企業ガスプロム、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェル、独エーオン、オーストリアOMV、仏エンジーが新たに全長1,200キロメートルに及ぶ2系列のパイプライン「ノルド・ストリーム2」を建設し、ドイツへのガス供給量を倍増させる計画で合意。19年末の稼働を目指している。

17年11月に欧州委が提案した規制案は、ノルド・ストリーム2に対し◇非差別的な料金の適用◇ネットワーク事業と発電事業などの所有権分離◇輸送状況に関する報告◇第三者によるアクセス確保(供給量の最低10%を第三者に提供)――というエネルギー市場に関する4つのEUルールの完全な順守を求めるという内容。フランスや東欧諸国などが規制案を支持する一方、ドイツは大幅なプロジェクトの変更を余儀なくされると主張し、議論は平行線をたどっていた。しかし、ドイツは採決を阻止するのに必要な反対票を集めることができず、フランスと共に妥協案を模索。4つのルールをどのように適用するかに関しては、域外から天然ガスを輸入するためのパイプラインが敷設された国(この場合はドイツ)に決定権を与えることで合意が成立した。

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