ドイツ連邦カルテル庁は7日、SNS大手の米フェイスブックは独占的な地位を濫用しているとして、是正を命じたことを明らかにした。ユーザーのインターネット閲覧データを同SNSが無制限に収集・利用することの承認をサービス利用の条件とする約款の変更を求めている。フェイスブックはこれを不服としており、裁判で争う構えだ。
フェイスブックを利用するためにはユーザー登録しなければならない。ユーザーはその際、外部サイト・アプリを含む閲覧データを同SNSが収集・利用することを無条件で承認することを求められ、受け入れないユーザーはサービスを受けられない。
カルテル庁はフェイスブックが独SNS市場で独占的な地位を占めていることを問題視。ユーザーにはフェイスブックに代わるSNSが事実上ないことから、フェイスブックによるデータ収集・利用を拒否できない状況にあるとして、独占的な地位濫用の疑いで2017年12月に調査を開始していた。
同庁は今回、フェイスブック傘下のインスタグラムやワッツアップを含む外部サイト・アプリの利用データを同社が収集・利用することを承認しないユーザーに対してもサービスを提供することを命令した。この命令を踏まえた改善策の提出を義務付けている。フェイスブック内でのユーザーの活動データを同社が収集・利用することについては、SNSの事業モデルの必要不可欠な要素であるとして、独禁法上の問題はないとの立場を示した。
カルテル庁のアンドレアス・ムント長官は、様々な外部サイトなどを訪問したユーザーの利用データを収集・分析することでフェイスブックはユーザー一人ひとりに関する類例のないデータベースを作り上げ、市場支配力を獲得したと指摘。同社には独占企業として、フェイスブックに代わる選択肢がユーザーにないことに配慮する義務があるとして、「データの包括的な収集・利用を受け入れるか、それともフェイスブックの利用を断念するか」の選択をユーザーに迫ることは認められないと強調した。