独2大銀行の合併、支持派は少数

ドイツの民間大手金融機関であるドイツ銀行とコメルツ銀行の合併を支持する人は専門家の間でも一般消費者の間でも少ないことが、各種の調査で分かった。

欧州経済研究センター(ZEW)が金融専門家174人を対象に実施した3月中旬のアンケート調査によると、合併に「意義がある」との回答は15%強にとどまり、「意義がない」の65%弱を大幅に下回った。回答者の55%弱は「合併の効果で国際競争力のある銀行が誕生することはない」と判断。また80%弱は「金融システム上のリスクが増える」と回答した。専門家の大半は業績不振の両行の合併を百害あって一利なしとみているわけだ。

ドイツ銀の大株主では第2位株主の米ブラックロック(資産運用会社)が先ごろ、否定的な見解を表明した。同社のフィリップ・ヒルデブランド副会長は合併により米国流の投資銀行を創出しても「機能しない」と断言。また、ドイツ銀が抱える問題は何も解決しないと言い切った。

メディア報道によると、筆頭株主のカタールは合併を頭から否定はしないものの、現時点では支持できないとの立場だ。合併を行うのであれば、両行が業績改善という「課題」を解決した後にすべきとしている。両行の大株主である米投資会社サーベラスは合併を支持しているとされる。

『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によると、ドイツ銀の5大株主は合併協議に参加している。そのうち3社は懐疑的ないし否定的な立場という。

一方、大衆紙『ビルト』の委託で世論調査会社insaが実施した消費者アンケートでは合併に「反対」との回答が43%に上り、「賛成」の17%を大きく上回った。「どちらでもない」(30%)と無回答(10%)を除いたベースでは反対が71%で、賛成は29%にとどまる。

両行はドイツ政府の圧力を受けて合併協議を開始したものの、合併には大幅な人員削減を恐れる労働組合も強く反対しており、理解者は極めて少ないというのが実情だ。

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