昭和電工は5月28日、ノンスティック・コーティング剤(NSC)を製造・販売するスイス企業ILAGインダストリーラックの全株式を現地の投資会社ヘルベチカ・キャピタルから取得する契約を締結したと発表した。収益性と安定性を高レベルで維持できる「個性派事業」の拡充方針に基づくもので、当該事業を強化する。買収価格は明らかにしていない。
NSCは調理器具・家電製品などの消費者向け製品や、自動車・産業機器などの工業製品に塗布される焦げ付き、汚れ防止を目的とした材料。昭和電工は世界市場規模を約1,300億円と推定している。
ILAGは消費財NSC市場で世界4位、欧州で同2位に付け、欧州では高いブランド力を持つ。自動車部品向けなど工業分野でも事業を展開しており、スイス国内で生産した製品を50カ国以上に供給している。また、中国にも生産拠点を持つ。昭和電工が2016年に買収した消費財NSC大手のGMMグループは米国の大手調理器具メーカーを主な顧客としていることから、GMMとはグローバル市場で販売エリアの補完などシナジー効果を期待できる。
昭和電工のNSC事業は今回の買収で6,000万ドルの売上規模を獲得し、特に消費財市場で世界的な競争力を持つようになる。同社は事業の半数以上を25年までに個性派事業とすることを目指している。