ノバルティス―がん免疫治療薬「キムリア」を欧州でも製造へ―

製薬大手のノバルティス(バーゼル)は11月28日、スイスのシュタイン工場でがん免疫治療薬「キムリア」を製造する施設の開所式を行った。欧州の患者に対する同薬の供給能力を改善する狙い。来年第1四半期(1~3月)から商業生産を開始する。

キムリアは血液のがんである白血病の治療薬。患者から取り出したT細胞の遺伝子を操作し、がん細胞を認識・攻撃するようにした製品だ。投与は1回で済むものの、薬価は約40万ドルと極めて高い。

患者のT細胞遺伝子を操作加工する施設はこれまで、米ニュージャージー州モリス・プレインズにしかなかった。このため世界各国の患者の需要に供給が追い付かない状態が続いている。

同社は需給のひっ迫を緩和するためにシュタイン工場内にキムリアの製造施設を開設した。今後はフランスにも設置する意向だ。

これまでに同薬で治療を受けた患者の数は全世界で約1,500人にとどまる。市場では同薬の売上高が10億ドルを突破すると予想されているものの、今年1~9月の実績は1億8,200万ドルにとどまった。

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