IT人材の獲得に苦労する企業が増えている。情報通信業界連盟(Bitkom)の調査によると、ドイツ国内のIT職の欠員数は今年12万4,000人に達し、前年から51%増加。2年前の2017年に比べると2.3倍に拡大した。Bitkomのアッヒム・ベルク会長は、デジタル化が今後、一段と進展するとIT人材不足はさらに深刻化すると指摘。IT職の欠員が埋まらなければ埋まらないほど企業の売上減、技術革新能力の低下、ドイツの経済競争力の低下という形で強く跳ね返ってくるとして警鐘を鳴らした。
IT人材は長年、不足傾向にあるものの、17年までは不足数が大きく増えることはなかった。だが、18年に49%増加。今年はさらに加速した。企業アンケートでは83%が「労働市場にIT人材が不足している」と回答した。
「ITどの分野で現在、求人を行っていますか」との質問ではソフトウエア開発者との回答がダントツで多く32%に達した。ベルク会長は「ソフトを中核事業の一部とする企業は増加する一方だ」と指摘。ソフト開発者は業種を問わず必要とされるようになっていると述べた。
「IT職の欠員が埋まるまでの期間はどの程度ですか」との質問では「4~6カ月」との回答が圧倒的に多く、75%を占めた。2%と少ないものの「1年以上」との回答もあった。
「求人条件に見合ったIT人材を獲得するうえでネックとなる問題は何ですか」との質問(複数回答可)では「応募者が要求する給与水準が高すぎる」が最も多く、72%に上った。これに「応募者の能力が要求する高水準の給与に見合っていない」が52%で続いており、給与が最大の問題となっていることがうかがわれる。3位は「応募者の専門能力が低い」で41%だった。
Bitkomは従業員数3人以上のドイツ企業、850社強の役員、人事担当者を対象に無作為抽出方式でアンケートを行った。