電気自動車(EV)大手の米テスラが電池の製造・開発向け補助金をドイツ政府に申請したもようだ。政府筋の情報として27日付『ハンデルスブラット(HB)』紙が報じた。所轄官庁の連邦経済省は、補助金を申請した企業の名を公表することはできないとしながらも、欧州域外の企業であっても補助金を受給できることを明らかにした。テスラはコメントを控えている。
欧州連合(EU)の欧州委員会は12月、電池の研究・開発、技術革新に向けた欧州企業のプロジェクトにドイツなど加盟7カ国が最大で総額32億ユーロを助成する計画を承認した。欧州委は経済と環境の両面で重要性が高まっている電池分野で欧州がアジア企業に強く依存する現状の是正を目指しており、「欧州の共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」の枠組みで電池向けの補助金に初めてゴーサインを出した。参加17社は(1)画期的な原料獲得・精錬技術と先端材料の開発(2)安全性と性能の高いセルとモジュールの開発(3)管理システム(ソフトウエアとアルゴリズム)を含む電池システムと画期的な検査方法の開発(4)リサイクリング、リパーパシング(電池以外の用途での再利用)、リファイニング(電池廃材の再精錬)――の4分野で補助金を活用しながらプロジェクトを行う。
独経済省はIPCEIの電池向け補助金の第二弾を計画しており、すでに昨年11月、事前通知を欧州委に提出した。27~28日にはEU加盟14カ国と55社以上の代表をベルリンに集めてワークショップを開催。欧州委への正式通知に向けた取り組みを協議した。新プロジェクトは環境に優しい電池製造に重点を置いており、高効率のリサイクルソリューション開発と使用済み電池の他分野での再利用に取り組む計画だ。HB紙によると、テスラはこの第二弾プロジェクトに参加する可能性があるという。
テスラは昨年11月、ベルリン近郊に工場を建設する計画を発表した。EVと電動パワートレイン、電池を生産する計画で、すでに用地取得契約を地元ブランデンブルク州と締結した。
独政府は車載電池セル分野の欧州企業連合に総額10億ユーロの補助金を交付することを決めている。同紙によると、経済界の反響が大きいことから、ペーター・アルトマイヤー経済相はこれを15億ユーロに引き上げることを検討しているもようだ。