メルク―DNAを記録媒体に―

製薬・化学大手の独メルク(ダルムシュタット)は5日の決算発表で、生物の遺伝情報が書き込まれているDNA(デオキシリボ核酸)をデータの記録媒体として活用することを研究するスタートアップ企業に出資することを明らかにした。社会・経済のデジタル化を受けて電子データの使用・記録量が飛躍的に増え、それに伴い電力の消費量も急拡大するという問題の解決につながると期待している。

メルクが出資する企業はデータ記録用の人工DNAを研究している。この研究が実を結べば、エネルギー消費量の大幅削減が可能になる。シュテファン・オッシュマン社長は「DNAを仮に現在、記録媒体として利用できれば、インターネット上の全コンテンツを靴箱1個のサイズに収納できる」と明言した。

2019年12月期決算の営業利益(EBITDA)は43億8,500万ユーロとなり、前期比で15.4%増加した。製薬、ライフサイエンス、機能性材料の3部門ですべて増益を確保。売上高は8.9%増の161億5,200万ユーロで、売上高営業利益率は前期の25.6%から27.1%へと上昇した。

純利益は60.9%減の13億2,000万ユーロと大きく落ち込んだ。比較対象の18年12月期は一般医薬品事業の売却で水準が押し上げられており、その反動が出た格好だ。

同社は20年12月期も増収増益を見込む。新型コロナウイルスの流行が第1四半期(1~3月)中にピークを迎え、第2四半期(4~6月)以降は沈静化していくことを前提としており、下振れの可能性を排除していない。

上部へスクロール