コメルツ銀行―赤字転落、コロナ危機で貸倒引当金が急増―

独金融大手コメルツ銀行(フランクフルト)が13日発表した2020年1-3月期(第1四半期)決算の純損益は2億9,500万ユーロの赤字となり、前年同期の黒字(1億2,200万ユーロ)から大幅に悪化した。赤字計上は14年10-12月期以来。新型コロナ危機を受けて貸倒引当金を大幅に積み増したことが響いた。営業損益も前年同期の黒字(2億4,600万ユーロ)から2億7,700万ユーロの赤字へと転落している。

1-3月期の貸倒引当金は3億2,600万ユーロとなり、前年同期の7,800万ユーロから4倍以上に膨らんだ。新型コロナ危機に起因するものはそのうち1億8,500万ユーロを占める。20年12月期では貸倒引当金が10億~14億ユーロに達する見通しだ。

経営環境の悪化を受けて経営陣はコスト削減の強化方針を打ち出した。今年は削減幅を当初計画より1億5,000万ユーロ拡大する意向だ。コスト削減プログラムの詳細は8月の4-6月期決算発表で明らかにする。

マルティン・ツィールケ頭取は新型コロナの流行を受けて多くの消費者が他人との接触を避けるようになったことを指摘したうえで、銀行に対しデジタルソリューションを求める声は今後、一段と強まるとの見方を示した。「このパンデミックはデジタル世界への転換を少し前まで想定していたよりもはるかに迅速かつラジカルに進めることを余儀なくする」と述べており、支店の削減数を増やす可能性がある。昨年9月に打ち出した計画では、国内の支店数を現在の1,000カ所から800カ所へと削減し、行員4,300人を整理することになっている。

19年12月期の配当についてはすでに見送りを決めた。当初は1株当たり15セントを予定していたが、新型コロナ危機を受けて欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏の銀行に配当中止を要請したことから、これに従った。同行は今回の決算発表で、コロナ危機がどの程度の影響をもたらすかが明らかにならない限り20年12月期も配当を見送る意向を表明しており、2期連続で無配となる可能性がある。

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