ドイツ政府は20日の閣議で、屠畜業界の労働規制強化方針を決定した。屠畜場が新型コロナウイルスのクラスターとなるケースが頻発していることを受けて、劣悪で不衛生な労働環境が原因と判断。労働者および屠畜場のある地域の住民を感染リスクなどから守るための措置を取ることにした。
屠畜場では主に中東欧からの短期労働者が働いている。職場の衛生環境は悪いことが多い。また、宿舎は「タコ部屋」の様相で、狭い空間に多くの労働者が寝泊まりしている。このため複数の屠畜場で集団感染が発生。大きな社会問題となっていた。
政府はこれを受けて今回、◇保健・労働当局などによるチェックを強化し労働・衛生・健康基準が遵守されるようにする◇宿舎の最低基準を企業に遵守させるための措置を検討する◇労働時間法の規制に違反した企業への罰金の上限を2倍の3万ユーロに引き上げる◇屠畜場で働く者を来年1月以降、正社員に制限し、派遣社員などの投入を禁じる◇外国人労働者に対し被用者としての権利と関連法規を母語で説明するプロジェクトを支援する――ことを決めた。