独メーカーの6割がI4.0ソフトを利用 AI利用は14%、予知保全や生産改善に期待

ドイツのメーカーの59%がインダストリー4.0(I4.0)用のソフトウエアを利用していることが、情報通信業界連盟(Bitkom)のアンケート調査で分かった。昨年は同53%、一昨年は49%にとどまっており、利用が広がっていることが分かる。I4.0ソフトの導入を「計画している」との回答も22%に上っており、事業のデジタル化に取り組む企業が大半を占める。Bitkomのアッヒム・ベルク会長は新型コロナ危機で経済が急減速していることを踏まえ、「メーカーがデジタル化を進めれば進めるほど、シャットダウンの影響から速やかに回復する」と述べた。

メーカーがデジタル化を積極的に進めるのは今後の生き残り、成長のカギを握るとみているためで、「I4.0は独製造業の競争力の維持の前提になる」との回答は94%に達した。「わが社の事業に新たな推進力をもたらす」も55%と過半数を占める。

I4.0が事業モデルに影響をもたらすとの回答は昨年の65%から73%に拡大した。I4.0に絡んで「新製品・サービスを開発する」は51%、「既存の製品・サービスを改善する」は28%、「既存の製品・サービスの販売を停止する」は26%に上った。

製品販売や、サプライヤーと顧客のネットワークを目的とするプラットホームを作成した企業、あるいはそうしたプラットホームに参加する企業は88%に達した。機械や機器をペイ・パー・ユース方式で提供する企業も45%と多い。製品・製造データを販売したりそうしたデータに基づくサービスを提供する企業は18%にとどまった。

I4.0化に伴い古い事業モデルを全面的に廃止した企業は3%に過ぎなかった。77%の企業では古い事業モデルと新しい事業モデルが共存している。

I4.0絡みで人工知能(AI)を利用している企業は14%と少なかったものの、前年の12%からはやや増加した。従業員数500人以上の企業では23%に上る。

AIが効果を発揮する分野としては予知保全との回答が43%で最も多く、これに僅差で生産性の向上(41%)、製造過程の最適化(39%)が続いた。コスト削減は15%にとどまった。

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