電機業界の景況感改善、指数は15部門すべてでマイナスに

独電気電子工業会(ZVEI)が8日発表した独電機業界の5月の景況感指数はマイナス36.8となり、前月のマイナス44.8から改善した。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための営業制限がドイツなど欧州各国で緩和されたほか、メーカーの生産活動が緩やかながら活発化してきたことが大きい。先行き見通しが好転し、全体が押し上げられた格好だ。

電機業界の景況感指数は現状判断を示す指数と今後の見通しを示す期待指数の中央値。期待指数(今後6カ月の見通しが「良い」とする回答の割合から「悪い」とする回答の割合を引いた数=DI)は過去最低となった前月のマイナス64.5ポイントからマイナス37.6ポイントへと大幅に上昇した。現状判断指数(現状を「良い」とする回答から「悪い」とする回答を引いた数=DI)はマイナス22.2ポイントからマイナス36.0ポイントへと悪化している。

景況感指数は前月に引き続き計15部門すべてでマイナスとなった。マイナス幅が最も大きかったのはこれまでに引き続き通信機器(-62.2)で、これに電気駆動装置(-56.6)、照明機器(-55.0)が続いた。娯楽家電(-0.6)と白物家電(-1.1%)はマイナス幅が小さかった。

今後3カ月の輸出見通しを示す指数(DI)も過去最低となった前月のマイナス60.0ポイントからマイナス41.4ポイントへと改善した。情報機器(+13.9ポイント)と白物家電(+5.1%)では見通しが「良い」との回答が「悪い」を上回っている。鉄道車両(0.0ポイント)は「良い」と「悪い」が拮抗。そのほかの12部門はすべてマイナスとなった。娯楽家電と通信機器(ともに-100.0ポイント)ではすべての企業が「悪い」と回答している。

5月の生産計画(先行き3カ月)で「拡大」を予定する企業の割合は前月の4.2%から8.9%へと増加した。「縮小」は同65.7%から46.0%へと減っており、「拡大」と「縮小」の差(DI)は前月のマイナス63.3ポイントからマイナス38.1ポイントへと改善した。同DIは通信機器(+14.2ポイント)と白物家電(+9.1ポイント)でプラス、鉄道車両(0.0ポイント)で横ばいとなった。マイナス幅は電気駆動装置の55.5ポイントが最大。こんほか計測機器・プロセスオートメーション(-54.2ポイント)、配線システム(-50.7ポイント)で大きかった。

一方、電機業界の4月の新規受注高は前年同月比20.8%減となり、下げ幅は前月の9.2%から大幅に拡大した。新型コロナの感染が主要市場の欧州でピークを迎えたことが響いた格好。ユーロ圏(ドイツを除く)からの受注が31.1%、国内が同18.4%、ユーロ圏外が17.5%落ち込んだ。

1~4月の新規受注は前年同期比81%減で、内訳は国内が9.0%減、ユーロ圏が12.7%減、ユーロ圏外が4.1%減だった。

4月の業界生産高は物価調整後の実質で前年同月を17.5%割り込んだ。1~4月も前年同期比で6.2%縮小している。

4月の業界売上高は125億ユーロで、前年同月を17.5%下回った。ユーロ圏が23.7%減少。国内は16.6%減、ユーロ圏外は14.9%減だった。

1~4月の売上高は582億ユーロで、前年同期から6.3%減少した。すべての地域で縮小。国内は6.3%減、ユーロ圏は8.7%減、ユーロ圏外は4.9%減だった。

4月(第2四半期初頭)の工場稼働率は75.9%となり、1月(第1四半期初頭)の81.5%から大きく低下した。

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