人工知能(AI)を活用するドイツ企業は少ないことが、情報通信業界連盟(Bitkom)のアンケート調査で分かった。それによるとAIをすでに利用している企業は全体の6%に過ぎない。昨年調査の2%からは増えているものの、71%は投入に向けて計画も議論もしていない。その一方で、73%はAIを「今後の最も重要な技術」とみている。Bitkomのアッヒム・ベルク会長は「問題はAIについて知らないということでなく、導入しようとする動きが鈍いことだ」との見方を示した。
調査は従業員数20人以上の企業603社を対象に1~2月に実施された。それによると、すでにAIを利用している企業は37社だった。利用分野では「パーソナライズド広告」が最も多く69%に上った。これに「入金と支出の自動記録」と「問い合わせや苦情に対する自動応答」がともに40%で続いた。4位は「価格の最適化」(32%)、5位は「予知保全」(25%)となっている。
AI未使用の企業に「将来的にAIを利用すると思う分野」を尋ねたところ、自動応答との回答は95%に達した。輸送ルートの作成(88%)、予知保全(86%)、入金と支出の自動記録(84%)、パーソナライズド広告(83%)も多く、大半の企業がAIの有用性を理解していることがうかがわれる。
AI投入の大きなメリットとして「従業員の負担軽減」との回答が最も多く、51%に上った。2位は「人為的なミスの排除」(45%)、3位は「迅速かつ正確な問題分析」(35%)だった。「コスト削減」は16%と少ない。
AI投資計画のない企業に理由を聞いたところ、「このテーマに取り組む時間がない」が70%で最も多く、これに「この問題に取り組める人材がいない」が56%で続いた。時間と人材の不足が多くの企業でネックとなっている。