マスク着用でも高精度の顔認識、BASFの子会社が開発

独化学大手BASFのハイテク子会社トリナミックス(trinamiX)は3日、マスクを着用していても高精度の顔認証を実現する技術を開発したと発表した。新型コロナウイルスの感染防止策としてマスク着用が多くの国で義務付けられていることから、同社は需要を掘り起こす考えだ。

「ビーム・プロフィール・アナリシス」と命名された同技術では、認証対象となる顔の立体(3D)的な特徴だけでなく、対象が写真などの偽造物でなく生きた人間であるかどうかも認識する。

新型コロナ問題の発生を受けて、現在は標準ソフトでもマスクを着用した人を認証できるようになっている。だが、その場合、認証の手がかりとなるメルクマール(特徴部分)の多くがマスクで隠されていることから、ソフトは本来よりも少ないメルクマールをもとに認証することになる。この結果、認証精度が下がり、写真などの模造物でも本人認証が可能になるという問題が浮上している。

ビーム・プロフィール・アナリシスでは、測定対象となる顔に近赤外線を投射。反射光をCMOSカメラで捕捉し、対象が生きた人間かそれとも写真やビデオかどうかを判断する。既存の顔認識ソリューションにシームレスに統合することができるという。

トリナミックスはBASFの完全子会社で、2015年に設立された。赤外線認識、3D造影、距離測定の分野で技術・製品開発に取り組んでいる。技術者数は100人強。BASFと同じ西南ドイツのルートヴィヒスハーフェンに本社を置く。

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