EUが移動制限措置の共通基準を提案、4段階のリスク評価導入で混乱回避へ

欧州連合(EU)の欧州委員会は4日、EU加盟国が新型コロナウイルス対策として移動制限措置を実施する際に採用すべき共通の基準を提案した。EU内では新型コロナの感染再拡大を受け、加盟国が域外からの渡航だけでなく、域内の移動に関しても異なる基準で制限措置を導入していることが背景。国によって移動制限にばらつきがあり、頻繁に変更されることで混乱が広がっているため、共通の基準を設けて予測可能性を確保する。

欧州は加盟国が移動制限を導入する際の基準として、当該国・地域における(1)過去14日間の人口10万人当たりの新規感染者数(2)過去7日間に実施された検査での陽性率(3)過去7日間に実施された人口10万人当たりの検査件数――を共通の指標として用いることを提案した。加盟国は毎週、欧州疾病予防管理センター(ECDC)に地域ごとのデータを提出し、ECDCは国および地域ごとの感染状況を「緑」「オレンジ」「赤」「グレー」に色分けする。

「緑」は14日間の新感染者数が25人未満、かつ陽性率が3%未満、「オレンジ」は新感染者数が50人未満で陽性率が3%以上、または新感染者数が25人以上150人未満、かつ陽性率が3%未満と定義。「赤」は新感染者数が50人以上、かつ陽性率が3%以上、または新感染者数が150人以上と定義した。「グレー」は3つの指標に基づくデータが不十分か、人口10万人当たりの検査件数が過去1週間に250件に満たなかった場合に分類される。

欧州委は緑とオレンジに色分けされた地域からの入国者に対しては、原則として制限措置を課すべきではないとする一方、赤またはグレー地域からの入国者に対しては、14日間の自主隔離または入国後の検査を義務付けることができるとし、検査が望ましいとの見解を示した。ただし、赤やグレー地域からの移動についても入国を拒否するべきではないとくぎを刺した。

EUでは3月に加盟国が相次いで隣国との国境を封鎖。6月にシェンゲン圏の域内移動制限が解除され、欧州委は加盟国にくり返し協調を呼びかけてきた。しかし、依然として加盟国の足並みは揃っておらず、ハンガリーは今月1日、東欧3カ国を除く外国人の入国を原則として禁止する措置を導入。欧州委はシェンゲン協定との整合性などを指摘して撤回を求めているが、ハンガリー側は拒否している。

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