独フォルクスワーゲン(VW)の商用車子会社トレイトン(ミュンヘン)は10日、戦略提携先の米ナビスター・インターナショナルに対する買収提示額を引き上げると発表した。新たな買い取り価格は1株当たり現金43ドルで、1月末に提示した同35ドルを23%上回る。これに対しナビスターは14日、提示額は同社の価値と買収後のシナジー効果を大幅に過小評価しているとして受け入れ拒否の姿勢を示しながらも、買収協議継続の意向を表明。提示額を引き上げれば買収を支持する考えを示唆した。
トレイトンは現在、ナビスターの普通株16.8%を保有している。株式公開買い付け(TOB)でこれを100%に引き上げる考え。
トレイトンのマティアス・グリュントラー社長は10日の声明で「わが社は依然として、トレイトンとナビスターの完全合併が両社に戦略的なメリットをもたらすと確信している。このため、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行にもかかわらず、この取引への関心を改めて表明する」と述べた。今後の資産査定の結果と両社の合併契約締結を買収の前提条件としている。