ダイムラーの商用車子会社ダイムラー・トラック(シュツットガルト)は16日、車両の電動化に向けた戦略を発表した。二酸化炭素(CO2)の排出を差し引きでゼロにするカーボンニュートラルを2039年までに実現するという目標達成に向けたもので、電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)をともに提供。顧客の様々なニーズに対応できるようにする。
まずは大型EVトラック「eアクトロス」を来年、市場投入する。都市部で配達に用いることを想定したモデルで、航続距離は200キロを大きく上る。
24年には航続距離が約500キロの大型EV「eアクトロス・ロングホール」を販売する。同モデルは比較的長い一定区間の往復など計画的な利用を想定している。
EVは航続距離が相対的に短いことから、本格的な長距離を走行するためには時間をかけて途中で充電しなければならない。このため、長距離輸送で現在主流のディーゼルトラックに取って代わることは難しい。
ダイムラーはこの事情を踏まえ、航続距離が最大1,000キロの大型FCVトラック「GenH2トラック」を開発する。23年に試用サービスを開始し、20年代後半に市場投入する意向だ。開発には国から1,700万ユーロの補助金を受ける。
燃料電池車をカーボンニュートラルな形で普及させるためには、再生可能エネルギー電力で製造した水素を競争力のある価格で提供できるインフラが必要となる。ダイムラー・トラックのマルティン・ダウム社長は発表会で、水素インフラが5年後も現在と同じく整っていないようであれば、FVCトラック投入に支障が出ると述べ、枠組み条件の整備を国に要請。同席したアンドレアス・ショイアー交通相は、開発を支援するだけでなく、購入価格やインフラ面の支援も視野に入れていることを明らかにした。