トレイトン―子会社MANの吸収合併を先送り―

フォルクスワーゲン(VW)の商用車子会社トレイトン(ミュンヘン)は17日、傘下のMANを吸収合併する計画を来年に先送りすると発表した。MANは業績改善に向けた構造改革を11日に打ち出したことから、まずは改革の実行に集中させる考えだ。MANに対するスクイズアウト方針を打ち出した結果、MANの株価が大幅に上昇していることから、株式の買い取りを実施すると財務負担が膨らむという事情も背景にあるとみられる。

トレイトンは2月、MANの吸収合併計画を明らかにした。スクイズアウトを通して他の株主が保有する計5.64%を取得し、出資比率を現在の94.36%から100%へと引き上げる。合併により組織をスリム化し意思決定を速やかに下せるようにするとともに、管理コストを削減する狙いだ。

スクイズアウト方針の発表を受けて、MANの株価は2月28日の37.10ユーロから翌営業日の3月2日に44.74ユーロへと急上昇した。直近のピークである今月14日は52.80ユーロを付けている。新型コロナ危機を受けて企業の資金繰りは厳しくなっており、コストの膨張につながるスクイズアウトは現時点で行いにくいとみられる。

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