航空大手の独ルフトハンザ(フランクフルト)は21日、新型コロナ危機に伴う事業縮小をこれまでの計画よりも拡大すると発表した。航空需要回復のスピードが従来の予想を大幅に下回る公算が高まっていることに対応。保有機材数と従業員数の削減幅を大幅に拡大する。
同社はこれまで、グループ企業の有効座席キロメートルが今年10-12月期(第4四半期)に前年同期比50%の水準まで回復すると予想していた。だが、現在は同20~30%にとどまると予想している。
経営陣はこれを踏まえ、市場の回復がこれまでの想定よりも遅れると判断。保有機材数を2020年代半ば以降、現在の約760機から約610機へと150機、減らす方針を打ち出した。6月の時点では100機の削減を予定しており、1.5倍に増やすことになる。
需要低迷を受けて航空機「A380」8機と「A340-600」10機は長期保管扱いとし、運行計画から除外する。A340-600は残り7機も退役処分することから、市場が急速に回復しない限り二度と運行しないことになる。A380も春の時点で6機が退役処分となっており、ルフトハンザグループで今後、運行されることは基本的にない。
機材の削減に伴い同社は7-9月期(第3四半期)に評価損を最大11億ユーロ計上する。また計算上、不要となる従業員の規模が従来見通しの2万2,000人(フルタイム換算)から膨らむことになるため、経営陣は従業代表と今後、人員整理に向けた協議を開始する。管理職の20%を21年1-3月期(第1四半期)に削減することも計画している。
営業キャッシュフローは現在、月当たり5億ユーロの赤字を計上している。同社はこれを20~21年冬シーズンに4億ユーロへと圧縮。21年中には黒字転換を図る計画だ。