グリーン水素の量産プロジェクト、BPと風力発電大手が独で実施

石油大手の英BPは10日、再生可能エネルギー電力からグリーンな水素を製造するプロジェクトをデンマークの風力発電大手オーステッドと共同で実施すると発表した。BPは二酸化炭素(CO2)の排出量を差し引きでゼロにする「カーボンニュートラル」を2050年までに実現する目標を掲げており、その一環としてドイツの製油拠点でグリーン水素を製造、活用する。

水素は製法によりグリーン水素と、天然ガスや石炭を使って生産することから温室効果ガスを排出する「グレー水素」の2種類に大別される。製油所では現在、グレー水素を用いて石油製品の生産が行われている。BPは石油製品製造用の水素を徐々にグリーン化していく考えだ。

両社は独北西部のリンゲンにあるBPの製油所でプロジェクトを実施する。まずは敷地内に50メガワット(MW)の電解漕を設置。オーステッドが北海の洋上風力発電パークで発電した電力を用いて水素を製造する。製造能力は1時間当たり1トンに上る。

BPは電解漕で作られた水素を燃料生産に投入。天然ガス由来のグレー水素の20%をグリーン水素に置き換える。2024年の設備稼働を予定している。

第2段階では電解能力を150MWへと拡大。長期的にはリンゲン製油所の水素をすべて再生エネ由来のものに置き換える。グリーン水素を用いたカーボンニュートラルな合成燃料、「eフューエル」の製造に乗り出す場合は電解能力を500MW以上に引き上げる考えだ。

オーステッドは独北部のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州で計画されているグリーン水素製造プロジェクト「ヴェストキュステ100」にも参加している。同プロジェクトの電解能力は30MW。

英オーロラ・エネルギー研究所によると、ドイツは現在、最も魅力的な水素市場となっている。水素経済実現に向けた野心的で詳細な計画を持つことと、既存の水素供給チェーンが高く評価され、オランダ、英国、フランスなど2位以下の国に大きな差をつけている。

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