ドイツ連邦統計局が20日発表した10月の生産者物価指数は前年同月比0.7%減となり、9カ月連続で低下したものの、下げ幅は5カ月連続で縮小した。新型コロナ危機に伴うエネルギー価格下落の幅が狭まっていることが大きい。エネルギーを除いた同物価はプラス0.1%となり、上昇へと転じた。
エネルギーは2.9%減となり、下げ幅は前月の同3.3%から狭まった。石油製品と天然ガスの下げ幅がそれぞれ17.9%から16.0%、8.2%から5.2%へと縮小したことが大きい。電力は0.7%上昇したものの、上昇率は前月の2.6%から低下した。
石油製品は前年同月を軒並み下回った。下げ幅は航空機燃料が52.8%、灯油が38.1%と特に大きい。自動車燃料も12.6%に上った。
天然ガスでは産業向けが10.5%、再販事業者向けが6.5%、発電所向けが5.6%の幅で落ち込んだ。
電力は産業施設向けが5.7%上昇したのに対し、再販事業者向けは2.3%、特別契約顧客向けは1.4%下落。取引所価格は14.0%落ち込んだ。
中間財は0.4低下した(前月-1.3%)。新聞用紙が11.0%、化学原料が5.9%、銑鉄・鉄鋼・鉄合金と紙・板紙がそれぞれ5.8%下落。貴金属は20.1%増とこれまでに引き続き大幅に上昇した。金属二次原料も11.6%増と上げ幅が大きい。
非耐久消費財は0.5%減となり、下げ幅は前月の0.1%から拡大した。下落は2カ月連続。豚肉が19.5%減とこれまでに引き続き大幅に低下している。コロナ禍で飲食店からの需要が減ったほか、野生のイノシシがアフリカ豚熱に感染していることが確認されたことを受けて中国などアジア諸国がドイツ産豚肉の輸入を禁止したことが背景にある。砂糖は14.6%、コーヒーは4.4%上昇した。
耐久消費財は1.4%増、投資財は0.9%増だった。
生産者物価指数は前月比では0.1%増となり、2カ月連続上昇した。エネルギーと中間財が0.3%、投資財と耐久消費財が0.1上昇。非耐久消費財は0.2%低下した。