高級車大手の独BMW(ミュンヘン)は20日、工場などで用いる運搬ロボットの開発・販売会社を設立すると発表した。自社の工場と物流施設に投入したところグループ内外で大きな反響を呼び、問い合わせも多いことから、同ロボットなどを開発する事業ユニットを会社化する。
完全子会社IDEALワークスをミュンヘンに開設する。IDEALはインダストリー・ドリブン・エンジニアリング・フォー・オートノモス・ロジスティクスの略。まずは専門家およそ30人で事業を展開する。
BMWでは以前から、仮想現実、拡張現実、運搬ロボット、ペーパーレス物流、スマートデバイスといったインダストリー4.0向けのソリューションを開発・利用している。新会社が販売する運搬ロボット「スマート・トランスポート・ロボット(STR)」は2015年にフラウンホーファー研究所と共同開発したもので、最適のルートを自ら計算して自動走行できる。また、自己位置の推定と環境地図の作成を同時に行うSLAM機能を備えることから、工場内などにナビセンサーを設置する必要がなく、どこにでも手軽に投入できる。積載重量は最大1トン。BMWの電気自動車(EV)「i3」と同じ電池モジュールを搭載しており、ワンシフトの作業時間の途中に充電を行う必要がない。
BMWの工場では現在、STRを130台以上、利用している。年末から次世代STRを販売する意向だ。
STRはもともと自動車の生産・物流施設を念頭に開発したロボットであるため、同社は外販に向けて他の様々な業界の企業で実用テストを実施した。テスト結果が良好だったことから、新会社を立ち上げた。