電気自動車(EV)製造の米テスラがベルリン近郊のグリュンハイデに建設中のEV工場に車載電池の生産施設も設置する意向だ。テレビ会議方式で11月24日に開幕した独経済省主催の欧州電池業界会議でイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が明らかにしたもので、同地にテスラ最大の電池工場を建設すると述べた。電池工場の建設計画は現時点で独当局に提出されていないものの、独ペーター・アルトマイヤー経済相はマスクCEOから建設計画を聞いていることを明らかにした。
メディア報道によると、テスラはグリュンハイデ工場でEVを年50万台生産するもよう。同地に電池工場も建設するとの観測はこれまでもあったが、マスクCEOは今回これを認めた格好だ。
同工場で年100ギガワット時(GWh)の電池を製造する考えも明らかにした。将来的には200~250GWhに拡大することを視野に入れている。
現時点でテスラ最大の電池生産施設は米カリフォルニア州の工場で、年産能力は35GWh。グリュンハイデ工場は少なくともその約3倍に達することになる。
グリュンハイデ工場ではセダン「モデル3」と中型SUV「モデルY」を生産することが決まっている。マスクCEOは今回、欧州市場向けの車両を新規開発して同工場で生産する考えを明らかにした。欧州で需要が大きいコンパクトカーを考えている。
アルトマイヤー経済相はテスラの電池工場建設にドイツ政府が巨額の補助金を交付する見通しを明らかにした。同工場建設向けの補助金は電池産業育成に向けた欧州連合(EU)の共同プロジェクトの枠組みで交付されることから、詳細については欧州委員会が同プロジェクトを承認した後に説明するとしている。
欧州委員会は昨年12月、電池の研究・開発、技術革新に向けた欧州企業のプロジェクトに加盟7カ国が最大で総額32億ユーロを助成する計画を承認した。参加企業は「欧州の共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」の枠組みで支援を受ける。
欧州委は現在、欧州企業の電池プロジェクトの第二弾を審査している。同プロジェクトには加盟17カ国の約50社が参加。ドイツ企業ではBASF、ファルタ、フォルクスワーゲン(VW)、BMWなど16社が名を連ねている。同委は年内に承認する見通しだ。