企業の敷地内で労働組合(Gewerkschaft)のビラ撒き活動を認めるかどうかは、従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)と雇用主の共同決定権の対象とならない――。こんな判断を最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が7月の決定(訴訟番号:1 ABR 41/18)で示したので、ここで取り上げてみる。
裁判は病院の事業所委員会が同病院を相手取って起こしたもの。同病院では2017年5月12日の国際介護デーに合わせてサービス労組Verdiに加入する被用者4人が敷地内にスタンドを設置しデモへの参加を呼びかけるビラを配布した。署名活動も行った。病院側はこの活動を中止させた。
事業所委はこれを受け、事業所内の秩序は共同決定の対象事項に当たると定めた事業所体制法(BetrVG)87条1項の規定に反すると批判し、提訴した。同委の承認を得ずにVerdiの活動を中止させたことは共同決定権の侵害に当たると判断したのである。
最高裁のBAGはこの訴えを退ける決定を下した。決定理由で裁判官は、Verdiの組合員が被告の敷地内で行った活動は基本法(憲法)で保障された結社の自由に基づくものであり、雇用主がこれを禁止することはそもそもできないと指摘。このため、雇用主と事業所委員会の共同決定の対象にもなり得ないと言い渡した。