日立製作所は10日、ドイツとノルウェー間を初めて接続する自励式高圧直流(HVDC)国際連系線プロジェクト(ノルトリンク)でスイス子会社日立ABBパワーグリッドが納入するHVDCシステムの通電試験を開始したと発表した。再生可能エネルギー電力が増加する欧州で送電網の安定と供給力の強化に貢献するとしている。
ノルトリンクはノルウェーの国営送配電事業者スタットネットとオランダの国営送配電事業者テネット、ドイツ復興金融公庫(KfW)のコンソーシアムが取り組む全長623キロメートル、電圧525キロボルト、容量1,400メガワットの連系線敷設プロジェクト。自励式HVDCシステムを使用したものでは、最長かつ最大規模の電圧・電力容量を持つ。2021年初頭の完成を予定しており、日立ABBはノルウェー南部とドイツ北部に設置するHVDC変換所2カ所の設計、エンジニアリング、供給を担当している。
同社の自励式HVDCシステム「HVDC Light」を使用することで、従来のシステムと比較して送電容量が約2倍になり、送電網全体の信頼性と可用性が向上。完成後はドイツの約360万世帯の電力需要に相当する電力を両国間で相互融通できるようになる。また、同プロジェクトは、各国の送電網を接続し、効率的かつ統合されたエネルギー市場を構築するという欧州が掲げる目標に合致した重要なプロジェクトに指定されており、国境を越えた電力取引の増加や、大容量かつ分散型の再生エネの利用拡大への貢献が期待されている。