ドイツ政府は12月16日の閣議で、廃家電法(電気・電子機器法)改正案を承認した。廃家電の回収義務を小型製品に限りスーパーマーケットなどにも拡大適用し、リサイクル比率を高めることが狙い。連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)の可決を経て2022年1月1日付で施行される見通しだ。
現行法では家電量販店とインターネット販売事業者に廃家電の無料引き取りを義務付けている。製品の一辺の長さが25センチメートル以下の廃家電であれば、消費者が新製品を購入しなくてもこれらの事業者は無料で引き取らなければならない。ネット販売事業者は新製品を配達した際に廃家電を引き取ることになっている。
改正法案には家電を年に複数回、販売するスーパーマーケットやディスカウントストア、食料品店にも回収義務を適用する規定が盛り込まれている。スーパーは通常、家電を少なくとも年に数度、販売することから、大半の店が回収を義務付けられる見通しだ。売り場面積800平方メートル以下の店舗は同義務を免除される。また、一辺25センチ超の廃家電引き取り義務は同じカテゴリー(テレビ、洗濯機など)の製品を消費者が購入する場合に限られる。新たに回収を義務付けられる事業者には同法案の施行後、6カ月の猶予期間が与えられる。
欧州連合(EU)加盟国は域内の製造業者に廃家電の回収・リサイクルを義務付けた「使用済み電子・電気製品に関する指令(WEEE指令)」の改正ルール基づき19年以降、国内で販売された電子・電気製品の総重量に対して年間65%の回収を義務付けられている。ドイツの実績は18年時点で同43%とどまっていることから、政府は廃家電の引き取り義務をスーパーなどにも拡大することで、EU基準を達成する考えだ。シュルツェ環境相は「回収場所が増えれば増えるほど、ごみ箱に捨てられたり不法に販売される機器が減少する」と述べ、法改正により有用資源の再生量が増え有害物質も適切に処理されるようになると意義を強調した。