ドイツ連邦統計局は5日、小売売上高の伸び率が今年は名目5.3%となり、同統計を開始した1994年以降の最高を更新するとの予測を発表した。同予測には1~11月の小売売上のほか、12月に導入された本格的なロックダウンの影響も加味されている。新型コロナウイルス感染症の流行は多くの小売店に打撃をもたらしているものの、業界全体では売り上げが拡大。物価を加味した実質でも伸び率は4.1%に達する見通しだ。
業界売上増加の背景には◇コロナ危機対策で7月から12月の6カ月間、付加価値税(VAT)率が引き下げられた◇バカンス旅行を断念した消費者が消費支出を家電や日曜大工用品、自転車など他の分野に振り替えた◇在宅勤務の急増でパソコンなどの需要が伸びた――という事情がある。Ifo経済研究所の試算によると、VAT税率引き下げの効果で消費支出は63億ユーロ押し上げられた。
1~11月の小売売上高は前年同期比で実質4.2%増加した。コロナ感染懸念とロックダウンを追い風に通販が23.4%増と大幅に拡大。このほか、家具・家電・DIY用品販売店(6.0%増)、食品・飲料・たばこ販売店(5.1%増)も大きく伸びた。一方、コロナ禍とロックダウンの直撃を受けた繊維・衣料品・靴・革製品販売店は21.5%減、デパートなど幅広い分野の商品を取り扱う総合的な小売店(スーパーを除く)は9.9%減と大幅に落ち込んだ。