衣料品小売大手の独アドラー・モーデメルクテは10日、民事再生手続きの適用をアシャッフェンブルク区裁判所に申請すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を抑止するために国が導入した制限措置の影響で資金繰りが悪化したため。実店舗型の衣料品店はコロナ禍とコロナ規制の影響を特に強く受けており、経営破たんが今後、相次ぐことが懸念されている。
アドラーはドイツ、オーストラリア、スイス、ルクセンブルクで計171店舗を展開している。ドイツはそのうち142店舗を占める。従業員数は9月末時点で3,350人。2019年は売上高が4億9,540万ユーロで、営業利益(EBITDA)7,030万ユーロを計上した。
ドイツでは新型コロナの感染拡大を防ぐために春にロックダウンが初めて実施された。その後、11月に緩やかなロックダウンが再導入。効果が薄いことから12月中旬に本格的なロックダウンへと切り替えられた。衣料品店などは店舗営業の停止を命じられている。
アドラーは12月中旬以降の本格ロックダウンで売り上げが大幅に減少。資金繰りの穴を埋める見通しが立たないことから、民事再生を選択した。経営陣は退陣せずに再建を目指す。