ドイツ連邦陸運局(KBA)が8日発表した2020年の乗用車新車登録台数は前年比19.1%減の291万7,678台と大幅に縮小した。新型コロナ危機の直撃を受けた格好。社用・公用車としての登録が22.4%減、マイカーとしての登録が13.0%減とともに2ケタ台の落ち込みを記録した。シェアは社用・公用車が62.8%(前年65.5%)、マイカーが37.1%(34.5%)だった。
動力源別でみると、純粋な内燃機関車が振るわず、ガソリン車は36.3%減の136万1,723台、ディーゼル車も28.9%減の81万9,896台へと後退した。
一方、環境対応車は好調だった。特に購入補助金の対象となる電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド(PHV)は3ケタ台の伸びを記録。それぞれ206.8%増の19万4,163台、342.1%増の20万469台に達した。ハイブリッド車(HV。PHVを含む)全体でも120.6%増の52万7,864台へと急拡大した。
シェアをみると、EVは前年の1.8%から6.7%、PHVは1.3%から6.9%へと拡大。HV(同)も6.6%から約3倍の18.1%へと伸びた。一方、ガソリン車は59.2%から46.7%、ディーゼル車は32.0%から28.1%へと縮小した。
走行1キロメートル当たりの新車の二酸化炭素(CO2)排出量は平均139.8グラムで、前年の157.0グラムから11.0%減少した。環境対応車の登録が急増したことが大きい。
車種別ではSUVのシェアが最も大きく、21.3%(前年21.1%)を記録。2年連続でトップとなった。これにコンパクトカーが20.5%(同20.5%)、小型車が15.1%(13.5%)で続いた。キャンピングカーはシェアが2.6%にとどまったものの、コロナ禍を背景に41.4%増と大幅に伸びた。
新車のカラーでシェアが最も大きかったのはグレーで、30.5%(30.3%)に上った。2位はブラックで24.1%(24.8%)、3位はホワイトで21.3%(20.6%)だった。
主要ブランドで伸び率が最も大きかったのはEV専門の米テスラで、55.9%増の1万6,694台に上った。このほかフィアットが0.2%増の8万9,150台とわずかながら伸びを確保した。
ドイツ車はすべて2ケタ減となった。減少幅は高級ブランドで相対的に小さく、メルセデス(10.6%減の30万3,185台)、ミニ(11.7%減の4万4,152台)、BMW(13.7%減の24万968台)、ポルシェ(16.3%減の2万6,319台)、アウディ(19.9%減の21万3,934台)は10%台だった。そのほかはVWが21.3%減の52万5,612台、フォードが30.6%減の19万4,250台、オペルが32.3%減の14万6,219台、スマートが67.3%減の1万6,051台だった。
日本車ではレクサス(1.6%減の3,530台)、スバル(7.9%減の5,407台)、トヨタ(8.7%減の7万7,176台)で減少幅が比較的小さかった。レクサスとトヨタはHVのラインアップ充実がプラスに働いた。他の日本車は日産が12.0%減の3万4,765台、三菱が13.7%減の4万4,985台、ホンダが25.4%減の1万1,696台、マツダが38.1%減の4万4,346台、スズキが44.8%減の2万2,415台だった。
日本車以外の輸入車はDSが2.6%減の2,773台、ルノーが4.4%減の12万5,318台、ジープが5.3%減の1万5,687台、起亜が7.6%減の6万4,296台、ボルボが11.6%減の4万7,194台、シュコダが13.0%減の18万1,198台、シトロエンが16.8%減の4万8,950台、セアトが17.4%減の11万4,564台、現代が18.9%減の10万5,051台、ジャガーが19.6%減の6,993台、アルファロメオが21.7%減の3,246台、プジョーが23.8%減の5万5,401台、ランドローバーが25.2%減の1万2,984台、ダチアが36.6%減の5万704台、双竜が40.2%減の1,715台。
12月は過去最高更新
12月単月の乗用車新車登録台数は前年同月比9.9%増の31万1,394台で、同月の過去最高を記録した。増加は3カ月ぶり。比較対象の19年12月に比べ営業日数が2日多かったほか、コロナ危機対策で付加価値税(VAT)率が引き下げられたことが大きい。
一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した20年の国内乗用車生産台数は350万8,500台で、前年を25%下回った。輸出台数は24%減の263万3,100台。12月は生産台数が前年同月比1%増の28万800台、輸出台数が横ばいの21万9,400台だった。