20年インフレ率0.5%に低下、VAT減税やエネルギー価格下落で

ドイツ連邦統計局が19日発表した2020年の消費者物価統計によると、同年のインフレ率(ドイツ基準)は0.5%で、前年の1.4%から大幅に低下した。新型コロナ危機を受けて付加価値税(VAT)率が7月から引き下げられたほか、エネルギー価格が4.8%低下したことが響いた格好。エネルギーを除いたインフレ率は1.1%だった。

エネルギーでは石油製品の下げ幅が大きく、灯油は25.9%、自動車燃料は9.9%低下した。電力は3.0%、天然ガスは0.3%上昇した。

食料品は2.4%高くなった。果物が7.1%、食肉・肉製品が6.1%上昇。全体を押し上げた。野菜は前年に6.0%上昇したこともあり、0.3%低下した。食用油脂も4.1%安くなった。エネルギーと食料品を除いた基礎インフレ率は0.9%で、前年の1.4%を下回った。

食料品以外の物品で上げ幅が大きかったのはたばこで、4.9%に上った。たばこにはVAT減税措置が適用されなかった。電話機は6.0%、情報機器は4.4%の幅で落ち込んだ。

サービスは1.3%上昇した。新型コロナ感染予防措置の義務化を受けて美容・理容/ボディケアサービスが4.1%上昇。自動車整備は3.2%の高い上げ幅を記録した。長距離鉄道料金はVATが年初と7月にそれぞれ引き下げられ前年同月の19%から5%へと低下したことから、下げ幅が14.9%に達した。このほか、コロナ感染リスクを背景にパック旅行がマイナス3.1%(データの補完率が高いため数値の妥当性は限定的)となった。

20年12月のインフレ率は前年同月比がマイナス0.3%、前月比が0.5%だった。エネルギー価格は前年同月比で6.0%低下。エネルギーを除いたインフレ率は0.4%、エネルギーと食料品を除いた基礎インフレ率も0.4%だった。

欧州連合(EU)基準の20年のインフレ率は0.4%。12月は前年同月比がマイナス0.7%、前月比が0.6%だった。

上部へスクロール