エネルギー設備大手の独シーメンス・エナジーは18日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国でグリーン水素プロジェクトを行うことで、同首長国の国営ムバダラ投資会社などと基本合意したと発表した。アブダビ共和国は今回の協業を通して環境に優しいグリーン水素と水素ベースの燃料の主要な輸出国となる考え。ドイツは水素戦略に基づきアブダビ産の水素などを輸入する意向だ。
シーメンス・エナジーとムバダラはグリーン水素と水素ベース燃料をアブダビで低コスト生産できるようにする計画。その一環で、シーメンス・エナジーはアブダビの再生可能エネルギー会社マスダールなど共同で、環境都市マスダール・シティでグリーン水素などの製造プロジェクトを実施する。
デモ用のプロトン交換膜(PEM)水電解設備を設置したうえで、太陽光由来の電力を用いて水素を製造。第一段階として乗用車とバスに供給するとともに、水素ベースの航空機燃料を生産する。第二段階では水素ベースの船舶用燃料も製造する計画だ。プロジェクトにはシーメンス・エナジー、マスダールのほか、同国のエティハド航空、独ルフトハンザ航空、丸紅、カリファ大学が参画する。
独経済・エネルギー省のトーマス・バーライス政務次官は今回の合意を「単に我が国の水素戦略の目的に鑑みて道しるべになるというだけではなく、ドイツとUAEのエネルギー・パートナーシップの価値を強調するものでもある」と述べた。