欧州連合(EU)の発電量に占める再生可能エネルギー発電の割合が2020年に初めて化石燃料を上回ったことが、シンクタンクの独アゴラ・エナギーヴェンデと英エンバーの共同調査で分かった。風力、太陽光発電施設の開発が進んだ一方で、石炭火力発電などが減少したことが大きかった。
両シンクタンクが25日に発表した統計によると、EUでの20年の発電量に占める再生可能エネルギー発電の比率は38%。前年から3.4ポイント上昇し、化石燃料による発電の37%をわずかながら上回った。国別ではドイツ、スペインで同比率が初めて化石燃料を超えた。
分野別では、風力発電が9%、太陽光発電が15%の幅で前年から増加。発電量は合わせて51テラワット時(TWh)の増加となり、EUの再生可能エネルギー発電の2割に達した。
化石燃料では石炭火力発電が20%、ガス火力発電が4%減った。このほか、原子力発電がスウェーデン、ドイツで稼働原発数が減ったことなどで10%減少。発電量に占める割合は25%まで縮小した。
発電量1キロワット時当たりの二酸化炭素(CO2)排出量は226グラムで、15年の317グラムから29%減少した。エネルギーが5年前と比べて29%クリーンになったことを意味する。
アゴラとエンバーは同結果を歓迎する一方で、再生可能エネルギー発電に移行するペースは鈍く、EUが昨年末の首脳会議で合意した2030年までに域内の温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも55%削減するという目標を達成するためには、再生可能エネルギーによる発電を毎年100TWhずつ増やす必要があるとしている