デパート大手に政府が4.6億ユーロを融資

ドイツ政府の経済安定化基金(WSF)は1月27日、コロナ禍で経営が悪化しているデパート大手ギャラリア・カールシュタット・カウフホーフ(GKK)に最大4億6,000万ユーロの融資を行うことを決定した。GKKは全国的に事業を展開するドイツ最後のデパート。GKKが消滅すると都市中心部にあるショッピング街の衰退に拍車がかかる恐れがあることから、政府は支援を決めたもようだ。

GKKは第1回目のロックダウンが行われていた4月、民事再生手続きの適用を申請した。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために政府が食料品店やドラッグストアを除く小売店の営業を禁止したことで、資金繰りが悪化したためだ。政府の低利融資支援を受けるために進めた取引先銀行との交渉が遅々として進展しなかったことから、民事再生が避けられなくなった。

経営陣はその後、従業員代表と交渉し、数十店舗を閉鎖することを取り決めた。店舗数は現在、4月の172カ所から131カ所に減っている。

同社は民事再生手続きを9月末に終了し、業績改善に向けて動き出した。だが、第2回目のロックダウンが11月初旬に導入。12月には制限措置が強化され、食料品店や薬局など一部の例外を除き小売店の店舗営業が禁止されたことから、GKKは食品売り場以外の店舗営業を行えなくなっている。固定費はなくならないことから、ロックダウンが長期化すれば資金繰りに行き詰まるのは確実で、同社は国の支援を要請した。

メディア報道によると、WSFは支援に様々な条件を付けたもようだ。融資は劣後債の形で行うという。

小売業界ではネット通販の成長を背景にショッピング街の人出が減少している。都市中心部に消費者を引き寄せるマグネット効果の大きいデパートが消滅すると、人出は一段と減り、小規模な小売店や飲食店なども経営が悪化し、都市の経済機能に大きな支障が出ることから、独小売業中央連盟(HDE)はオーラフ・ショルツ財務相(副首相)に書簡を出し、GKKの支援を要請していた。

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