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2021/2/10

総合 - ドイツ経済ニュース

交通部門の再生エネ使用比率を30年までに28%へ

この記事の要約

ドイツ政府は交通セクターで使用するエネルギーに占める再生エネの割合を2030年までに28%へと引き上げるための法案を3日の閣議で了承した。欧州連合(EU)再生可能エネルギー指令(RED II)を国内法に転換するものだが、 […]

ドイツ政府は交通セクターで使用するエネルギーに占める再生エネの割合を2030年までに28%へと引き上げるための法案を3日の閣議で了承した。欧州連合(EU)再生可能エネルギー指令(RED II)を国内法に転換するものだが、再生エネ比率を同指令で義務付けられた14%の2倍に設定している。法案は連邦議会と連邦参議院の議決を経て4-6月期(第2四半期)に施行される見通しだ。

化石燃料への再生エネ系燃料の混合を石油メーカーに義務付けるルールの強化、拡大を通して同比率を達成する。

化石燃料は1ギガジュール当たり平均94.1キログラムの二酸化炭素(CO2)を排出する。ドイツではこれを減らすため、化石燃料に再生エネの一種であるバイオ燃料を混合することが2015年から義務付けられている。これにより石油メーカーはCO2の排出量を混合しない場合に比べ3%引き下げなければならなくなった。同比率(THG比率)は21年現在6%となっている。

政府はこれを段階的に引き上げていき、30年に22%とする数値目標を法案に盛り込んだ。

混合する再生エネとしては「食品・飼料系植物油」、「廃油・動物性脂肪」、残材から製造される「進歩的なバイオ燃料」、「グリーン水素と、グリーン水素で製造するPtX(パワー・ツー・X)燃料(eフューエルなど)」の4種類を明記している。このうち食品・飼料系植物油については食糧と競合することから混合比率の上限をエネルギー換算で4.4%に制限。廃油・動物性脂肪も同1.9%を上限としている。パーム油については原料であるアブラヤシの栽培が熱帯林破壊の原因となっていることから26年までに混合を禁止する。

一方、進歩的なバイオ燃料については逆に混合比率に下限を設定する。同比率は22年が0.2%。段階的に引き上げられ30年に2.6%となる。同比率よりも多く混合した場合は、超過部分の混合比率を2倍に換算して優遇する。

グリーン水素とPtXは製油所と自動車燃料に投入した全量が混合比率で2倍に換算される。PtXは実用化されていないことから、当面はグリーン水素のみが投入されると政府はみている。

電力を電動車に供給した場合は、混合比率で3倍に換算する。これにより石油会社が充電ステーションを積極的に増やすようにする狙いだ。

法案にはさらに、航空機燃料ケロシンへのPtL(パワー・ツー・リキッド)燃料混合を26年から義務化することも盛り込まれている。混合比率は当初0.5%で、これを28年に1%、30年に2%へと引き上げる。