新型コロナウイルスのワクチンを接種した人にデジタルの「接種証明書」を発行する計画をデンマークとスウェーデン政府が進めている。同様の計画は欧州連合(EU)で検討されているが、先行して実施する。
デンマーク政府が3日に発表した計画は、ワクチン接種者が公的な接種証明書をスマートフォンで入手できるようにするというもの。経済団体と協力してシステムを開発する。3~4カ月後の運用開始を目指す。
スウェーデン政府も4日、同様のデジタル証明書の発行を計画していることを明らかにした。今夏までの発行開始を予定している。
「ワクチンパスポート」とも称されるワクチン接種証明書の発行は、接種者が自由に移動できるようにすることで、経済活動の再開を後押しするのが狙い。EUではギリシャ、スペインなど観光業の盛んな国が導入を求めており、1月21日の首脳会議で域内共通の基準を策定することで合意した。ただ、証明書による渡航制限の緩和など、医療目的以外での活用に関しては慎重な意見が多く、詳細は固まっていない。
デンマークとスウェーデンのワクチン接種者は、他のEU加盟国に渡航する際、対象国が同様の制度を設けていなければ証明書が無効となる可能性があるが、両国はEUレベルでの導入を前提に、先行して独自に準備を進める。