エネルギー設備大手の独シーメンス・エナジーは8日、仏工業ガス大手エア・リキードと大型電解槽を共同開発することで基本合意したと発表した。再生可能エネルギー電力を用いて水素を低コストで生産できる技術を開発。欧州での水素経済実現に寄与する考えだ。両国政府の支援を受ける。
両社は大型プロトン交換膜(PEM)電解槽の開発で手を組む。顧客企業と共同で複数のプロジェクトを独仏および他の欧州諸国で実施する意向。すでに200メガワット(MW)級電解槽を仏北西部のノルマンディー地方に設置するプロジェクトは具体化が進んでいる。両社は次世代電解槽の研究・開発でも協業する意向だ。
再生エネ電力で生産するグリーン水素は製造過程で二酸化炭素(CO2)が排出されないことから、欧州連合(EU)はCO2排出削減目標の達成に必要不可欠な柱と位置付けている。ただ、現時点では生産コストが高く実用化できていないことから、両社は低コスト化につながる電解槽を開発する。気候中立実現に向けた「EUグリーンディール」、および「欧州の共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」の枠組みで公的支援を申請する。