ドイツ政府は10日の閣議で、エネルギー経済法(EnWG)改正案を了承した。水素経済実現の前提となるインフラ整備の枠組みを創出するもので、水素が初めてエネルギーとして取り扱われている。水素のパイプライン輸送を電力や天然ガスと同様に規制の対象とすることで、同輸送インフラ構築に際して法的な不明確性を排除できるようにする狙いだ。
水素パイプラインを第3者向けに無差別で開放することを運営事業者に義務付ける。輸送料金の額は国が規制する。ただ、水素パイプラインは現在、リンデなどの生産者と数少ない特定の産業顧客を結ぶ形で局地的に運営されているに過ぎず、当面は需要と供給の大幅な拡大も見込めないことから、改正法案では国の規制下に入るかどうかを自ら選択する権利が水素パイプラインの運営事業者に認められている。
政府は欧州連合(EU)が今後、制定する規制を踏まえ、国内ルールを中期的に再調整する考え。