エボニック―ワクチン用脂質を増産、ビオンテック向けに―

特殊化学大手の独エボニックは11日、脂質の生産能力を短期間で拡大すると発表した。独バイオ医薬品企業ビオンテックが米製薬大手ファイザーと共同開発した新型コロナウイルス用ワクチン向けに供給。脂質不足で滞っているワクチン生産を支援する。独メルクも同ワクチン向けの脂質生産拡大方針を先ごろ打ち出したばかり。ワクチンの供給拡大に向けた企業間の協力体制が強化されてきた。

ビオンテック/ファイザー連合は伝令RNA(mRNA)ベースのコロナワクチンを開発した。mRNAは不安定で壊れやすいことから、細胞内に送り込むためには微細な脂質ナノ粒子で包み込む必要がある。この脂質を高品質かつオーダーメイドで量産できるメーカーが世界に数社しかないことから、コロナワクチンの実用化で急速に高まった需要に供給が追い付かない状況となっている。

エボニックは独南部のハーナウとドッセンハイムの工場に投資を行い、脂質の増産体制を整える。下半期にもビオンテック向けに量産を開始する予定だ。

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