半導体の次は鉄鋼、需要回復に追い付かず

欧州でこのところ鉄鋼製品が不足している。新型コロナ危機からの回復を受け製造業の幅広い分野で需要がにわかに拡大したことから、供給が追い付かない状況だ。自動車業界を減産や操業の一時停止に追いやっている半導体不足に続いて、鉄鋼の需給ひっ迫が新たなリスク要因として浮上してきた。独『ハンデルスブラット』紙が10日、報じた。

鉄鋼価格は昨年、コロナ禍の直撃を受け1トン当たり400ユーロまで値下がりした。だが、ここ数週間は急速に上昇しており、熱延鋼板は現在およそ700ユーロに達している。

欧州鉄鋼メーカーはコロナ禍で需要が激減したことを受けて昨年、生産能力を縮小した。需要の拡幅を受けてすでに増産体制に入っているものの、一度停止した高炉を再稼働させるには時間がかかることから、供給が需要に追い付かない状況だ。

米国が鉄鋼の輸入に追加関税を課したことを受けて欧州連合(EU)がロシアやトルコなど域外の製品にセーフガードを発動し、流入を制限していることも追い打ちをかけている。

川上の鉄鋼が不足していることから、鉄鋼加工業界では顧客に製品を供給できず、係争に発展するケースが増えているという。独鉄鋼・金属加工業連盟(WSM)のフベルト・シュミット会長(鉄鋼加工会社シュチュッケン社長)は「受注から納品までの期間は通常8~10週間を要するが、現在は最大22週間に達している」と述べた。

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