自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)が主要サプライヤーへの損害賠償請求を検討している。車載半導体不足で生産に支障をきたしている原因はサプライヤーの不適切な対応にあったとみているためだ。ロイター通信などが15日、報じた。
VWの調達担当者によると、VWは新型コロナウイルスの感染拡大で激減した乗用車需要が急速に回復するとの見通しを4月初旬の時点でサプライヤーに伝えた。だが、「あるサプライヤーはわが社の数値を信用せず」、調査会社が提示したVWとは異なる予測を信用。車需要の回復に備えて十分な量の半導体を確保することを見合わせ、11月になって半導体不足をVWに通告したという。
このサプライヤー名は伏せられているものの、VWはボッシュとコンチネンタルを通して半導体を調達していることから、両社のどちらかを指しているとみられる。
コンチネンタルはロイター通信に、調査大手IHSマークイットの分析をもとに市場予測を立てていることを明らかにしたうえで、全市場参加者の予想をベースとするIHSの分析はVWなど個々の企業が独自作成する予測と異なることがあり得るとの見方を示した。ボッシュは国際調達市場の複合的な要因が現在の半導体不足をもたらしたとしている。両社ともVWの批判へのコメントを控えている。
VWは半導体を今後は製造元から直接、調達する考えという。