EUが変異ウイルスへの対策強化へ、検査法開発や研究協力に資金支援

欧州連合(EU)の欧州委員会は17日、変異した新型コロナウイルスへの対策を強化すると発表した。英国由来をはじめとする変異ウイルスの感染が広がるなか、変異型に適した検査方法の開発やゲノム解析、関係機関による研究協力などを資金面で支援するほか、ワクチンの承認手続きを迅速化することなどが柱。25~26日に開くオンライン形式の首脳会議で一連の対策案について協議する。

欧州では新型コロナの新規感染者数自体は減少傾向にあるものの、スロバキアでは英国型の感染が全体の74%、デンマークでも同45%を占めるなど、変異ウイルスが広がっている。英国の専門家によると、ロンドン近郊ケントで確認された変異ウイルスはさらに変異しており、ワクチンの効果を脅かす恐れがある。

変異ウイルスの抑え込みに向けて欧州委が打ち出した対策の柱は (1)検査方法の開発と研究の推進 (2)ワクチンの承認にかかる行政手続きの見直し (3)ワクチン生産と供給体制の強化。

(1)については変異ウイルスに適した検査方法の開発や、遺伝子変異の解析などに少なくとも7,500万ユーロを充てるほか、新たに1億5,000万ユーロを投じて変異ウイルスの研究を推進する。また、EU加盟国とスイスやイスラエルなどがネットワークを構築し、ワクチンの臨床試験データを共有したり、情報交換できるようにする。

(2)に関してはすに承認されたワクチンに改良が加えられたものである場合、欧州医薬品庁(EMA)が迅速に承認できるよう規制を見直す。また、ワクチンの製造施設についても申請前の段階から規制当局が関与して情報収集などに当たり、迅速に認可できるようにする。

(3)については変異ウイルスに対応したワクチンの確保に向けてこれまでと同様、製薬会社との間で事前購入契約を結び、既存の契約も必要に応じて見直す。また、実際のワクチン供給が予定より遅れ各国で接種スケジュールが大幅にずれ込んでいる現状を踏まえ、今後の契約に際して確実なタイムスケールでEU域内での詳細な生産・供給計画を提示するよう製薬会社に求める。

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