新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために実施している規制をドイツの一部の州が週明けの3月1日から緩和した。厳格なロックダウン(都市封鎖)の長期化を受けて緩和を求める経済界の圧力や消費者の不満が高まっていることが背景にある。
ミュンヘンを州都とするバイエルンはホームセンターと園芸センター、ネイルスタジオの営業を解禁した。西南ドイツのラインラント・ファルツ州も花屋とフットケアスタジオ、自動車教習所を解禁。ホームセンターと園芸センターについては屋外営業を認めている。また、衣料品店などでは予約客限定で店舗営業を認めている。
ヘッセン州のフォルカー・ブフィエ首相は2月25日、店舗営業などの規制を3月から段階的に緩和していく意向を表明した。市民の不満を踏まえた措置で、「人々はうんざりしている」と明言した。
ドイツでは11月初旬に導入された緩やかなロックダウンが効果を挙げなかったことから12月中旬に規制が大幅に強化。レストランや美容・理容店、生活必需品以外を取り扱う小売店の店舗営業が禁止された。
その効果で新規感染者数は大幅に減ったものの、従来の新型コロナウイルスに比べ感染力の高い変異種が流行し始めたことを受けて国と州は先ごろ、規制を3月7日まで延長するとともに、ロックダウン緩和の目安とする1週間の新規感染者数を従来の人口10万人当たり50人以下から同35人以下へと変更した。このため経済界ではロックダウンがずるずる続くことへの危機感が急速に高まり、衣料品販売チェーンのブロイニンガーや家電量販大手メディア・マルクト/ザトゥーンは2カ月を超える営業禁止を不当として裁判を起こした。
アンゲラ・メルケル首相と国内16州の首相は3日の会議で8日以降の規制について協議する。メルケル首相は感染の有無が速やかに分かる抗原検査を無料提供することで規制を緩和する意向を表明しているものの、検査体制を構築できる時期を「3月中」としていることから、開始時期は3月中旬から下旬になりそうだ。