英蘭系石油大手シェルは2月26日、独西部のヴェッセリングにある製油拠点内に合成ケロシン(航空機燃料)の商業生産施設を建設する方針を明らかにした。ドイツ国内で排出する温室効果ガスを大幅に削減する計画に基づく措置で、同拠点での水素生産能力も大幅に拡大する。
シェルはドイツ国内で同社、および同社の燃料を用いる顧客が排出する温室効果ガスを今後10年で3分の1以上、削減する目標を掲げている。これを実現するためには化石燃料への依存を減らし、合成燃料を増やす必要があることから、再生可能エネルギー電力と木質残材を用いて合成ケロシンを商業生産。二酸化炭素(CO2)排出量を石油由来の従来型ケロシンに比べ80%以上、削減する。
合成ケロシンの生産施設は2023年に着工し、25年から操業を開始する。生産能力は当初、年およそ10万トンとする。
シェルは10メガワット(MW)級プロトン交換膜(PEM)電解槽をヴェッセリング拠点に設置し、昨年から水素の生産を開始した。同社はこれを10倍の100メガワット級に拡大する考え。22年の建設開始を予定している。
合成ケロシンの生産施設建設とPEM電解槽の生産能力拡大は欧州連合(EU)とドイツの補助金を受けて実施する計画。現時点で補助金の受給は確定していないため、投資の最終決定を下していない。