Ifo経済研究所が26日発表した3月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は前月を3.9ポイント上回る96.6となり、2019年6月以来1年9カ月来の水準まで回復した。同指数の改善は2カ月連続。製造業の景気回復のほか、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために実施しているロックダウン(都市封鎖)の緩和がプラスに働いた。クレメンス・フュスト所長は「感染者数の増加にもかかわらずドイツ経済は自信をもって春へのスタートを切った」と明言した。
今後6カ月の見通しを示す期待指数が100.4となり、前月の95.0から5.4ポイント上昇した。直近の底である1月に比べると9.0ポイント高い水準だ。現状判断を示す指数も2.4ポイント増の93.0となり、2カ月連続で改善した。
現状を「良い」と判断する企業の割合から「悪い」の割合を引いた数(DI)と、今後6カ月の見通しを「良い」とする割合から「悪い」の割合を引いた数(DI)の中央値(景況感、季節調整値)は11.2となり、前月の2.7から8.5ポイントも上昇した。上昇幅が最も大きかったのは流通業でマイナス14.6からマイナス1.4へと13.2ポイント改善している。ただ、スーパーマーケットや自転車屋など一部の例外を除き小売部門がロックダウンの直撃を受けていることから、数値は依然としてマイナスの領域にとどまっている。
サービス業も前月のマイナス2.2から6.5へと8.7ポイント上昇した。コロナ規制の緩和で消費者向け部門の先行きがやや明るくなったことが大きい。コロナ禍の影響が特に大きい宿泊・飲食と旅行では厳しい状況が続いている。
製造業は16.4から24.1へと7.7ポイント上昇した。製品需要が大幅に伸びていることが背景にあり、先行き見通しは10年11月以来の高水準に達した。
建設業は2.3となり、前月のマイナス2.8から5.1ポイント高まった。現状判断と先行き見通しがともに改善している。
輸出見通しが10年来の高水準に
一方、Ifoが29日に発表した独製造業の3月の輸出期待指数(DI)は前月の11.9ポイントから24.9ポイントとへ上昇し、2011年1月以来10年2カ月ぶりの高水準を記録した。フュスト所長は「輸出業界はアジアと米国の力強い景気の恩恵を受けている。ユーロ圏も緩やかながら回復している」と述べた。
製造業のほとんどすべての分野で輸出見通しが改善した。特に電機と機械が好調で、機械は17年11月以来の高い水準となった。自動車も良好な見通しが続いている。2カ月連続で急落していた家具は好転した。衣料品と靴メーカーは売上減を見込んでいる。