クラッカーの熱源を再生エネに転換、CO2削減に向けBASFなどがプロジェクト

化学大手の独BASF、サウジ基礎産業公社(SABIC)、プラント大手リンデは24日、スチームクラッカー(蒸気分解炉)の熱源に再生可能エネルギー電力を投入するプロジェクトを計画していると発表した。石油化学産業の二酸化炭素(CO2)排出を大幅に削減する技術の確立を目指す。実現すれば世界初の電力加熱型スチームクラッカーとなる。

スチームクラッカーは基礎化学品の生産で中心的な役割を果たす設備で、炭化水素をオレフィンと芳香族に分解する。分解に当たっては約850度の高温が必要で、これまでは化石燃料を燃やして獲得してきた。

3社は化石燃料を再生エネに置き換えることで、スチームクラッカーのCO2排出量を最大90%削減する技術の実現を目指す。BASFとSABICは化学プロセス開発分野、リンデはスチームクラッカーの開発・建設分野のノウハウと知財権をそれぞれ持ち寄り、パイロットプロジェクトを実施する考え。電力加熱型スチームクラッカーの開発に成功した場合、リンデは市場投入する。

プロジェクトの実施に向けて3社は欧州連合(EU)と独環境省に補助金を申請した。補助金の交付が決まれば、BASFのルートヴィヒスハーフェン工場内にデモ施設を設置し、2023年から操業を開始する予定だ。同社のマルティン・ブルーダーミュラー社長は「この技術の飛躍は化学産業のCO2低排出化に向けた取り組みの画期をなす」と意義を強調した。

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