市場調査大手GfKが4月28日発表したドイツ消費者信頼感指数の5月向け予測値はマイナス8.8ポイントとなり、4月の修正値(-6.1ポイント)から2.7ポイントも落ち込んだ。新型コロナウイルスの感染第3波を受けて制限措置が再強化されたことが反映されている。調査担当者は「第3波は内需の回復を遅らせている。消費は今年も昨年同様に景気の支柱にならない」と明言した。
感染防止に向けて実施しているロックダウン(都市封鎖)は3月に一度、緩和された。これを受けて同月の調査では景気や所得に対する消費者の信頼感が大きく好転。4月の消費者信頼感の大幅上昇につながった。
だが、感染第3波が拡大するなかで一部の州がコロナ規制の緩和を進めることに危機感を持ったメルケル首相の主導で、感染者数の多い地域に全国一律で制限措置を厳格に適用する「緊急ブレーキ」ルールが導入されたことから、消費者信頼感が一気に冷え込んだ。
消費者信頼感指数の算出基準となる3つの指標のうち2つの指標が大幅に落ち込んだ。特に所得の見通しに関する4月の指数は22.3ポイントから9.3ポイントへと13ポイント下落した。店舗営業規制の緩和を背景に膨らんでいた小売従事者の期待感が、緊急ブレーキの厳格適用を受けて打ち砕かれた格好だ。失業懸念が再び強まっている。
景気の見通しに関する4月の指数は10.4ポイント減の7.3ポイントへと低下した。個人消費の低迷が続いていることを受け、今年は景気の回復が弱いとみる消費者が増えているもようだ。
高額商品の購入意欲に関する4月の指数は5ポイント増の17.3ポイントとなり、3カ月連続で改善した。消費機会の喪失を受けて貯蓄が増えていることが大きい。コロナ規制が緩和されれば財布のひもは一気に緩む可能性がある。