ルネサスの独社買収をカルテル庁が承認

ドイツ連邦カルテル庁は4月29日、ルネサスエレクトロニクスが英国に本社を置くドイツ系の半導体大手ダイアログ・セミコンダクターを完全買収する計画を承認したと発表した。両社の製品分野が異なるうえ、市場に強力な競合も存在することから、競争法上の問題はないと判断。無条件で買収を認めた。

ルネサスは車載半導体分野で高い競争力を持つため、カルテル庁は自動車メーカーと部品メーカーに聞き取り調査を行うなど買収計画を慎重に審査。同社がABSやエアバッグなどの制御に用いるマイクロコントローラー分野で有力な市場プレイヤーであることが確認された。ただ、ダイアログが手がける車載半導体は電力制御が主で、ルネサスとは分野が異なることから、カルテル庁は買収を認めても競争法上の問題は生じないと判断した。

カルテル庁は競争法に基づいて今回の審査を行った。欧州連合(EU)域外の企業による買収が安全保障などに影響しないかどうかを調べる貿易法上の審査は経済省の管轄であり、同庁は声明に「担当でない」と断り書きを記している。

ルネサスはダイアログの買収計画を2月に発表した。製品の幅を拡充し、ソリューション提供能力を強化する狙い。買収総額は約49億ユーロ(6,157億円)。年内の買収手続き完了を見込んでいる。

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