新型コロナウイルスの新規感染に占めるデルタ変異株(インド株)の割合が急速に増えている。ロベルト・コッホ研究所(RKI)が23日に発表した最新レポートによると、同変異株の割合は2021年第23週(6月7~13日)に15%となり、前週の8%からほぼ倍増した。今後さらに上昇すると予想されている。
デルタ株は感染力や重症化率が高く、ワクチンの効果も落ちる「懸念される変異株(VOC)」の1つ。現在ドイツで主流となっているVOCのアルファ変異株(英国株)に比べても感染力が高く、デルタ株が主流となった英国やポルトガルでは感染者数が急増している。
感染力が高いことから、ドイツでも主流となるのは時間の問題とみられている。金融都市フランクフルトを抱えるヘッセン州ではデルタ株の割合が20%を超えた。ラインラント・ファルツ州の州都マインツでは34.1%に達した。
ドイツの新型コロナ感染者数自体は少なく、人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数は29日時点で5.4人にとどまった。減少が続いている。デルタ株が主流となっても、新型コロナの感染者数が少ない状態が続けば問題はない。ワクチン接種を完了した人では感染リスクが低いことから、全国の接種キャンペーンをいかに速やかに展開できるかがカギを握ることになる。
第23週の新規感染に占めるアルファ株の割合は74%で、前週の84%から10ポイント低下した。VOCの割合も93%から91%に下がっている。
政府はVOCが流行する国を「変異株地域」に指定し、入国を厳しく制限している。ドイツ国籍保有者やドイツ在住の外国人は入国できるものの、入国後14日の隔離が例外なく義務付けられる。変異株地域には29日現在、16カ国が指定されている。欧州では英国、ポルトガル、ロシアが該当する。