ドイツテレコムは7日、米移動通信サービス大手TモバイルUSの株式およそ5.3%をソフトバンクグループ(SBG)から譲り受けることで合意したと発表した。TモバイルUSを子会社化する方針に基づく措置。SBGはドイツテレコムの大株主となる。両社は戦略パートナーシップの締結でも合意しており、協力関係を通してシナジー効果を引き出していく意向だ。
ドイツテレコムは2018年4月、SBGとの間でそれぞれの米子会社TモバイルUSとスプリントを合併することで合意。20年4月にTモバイルUSを存続会社として合併を実現した。ドイツテレコムの出資比率は現在およそ43.2%だが、SBGが合併に際し議決権をドイツテレコムに付与したことから、ドイツテレコムは過半数議決権を行使できる。
ドイツテレコムは20年6月、TモバイルUSの株式およそ8%をソフトバンクGから譲り受けるオプション権を獲得した。この権利は少なくとも24年6月まで有効であるため、それまでにオプション権を行使すれば、TモバイルUSへの出資比率を51%に引き上げ子会社化できる。
ドイツテレコムはこのオプション権の一部を行使し、TモバイルUS株を合わせて約5.3%取得。出資比率を48.4%へと引き上げる。
同取引は2段階に分けて実施する計画で、まずはTモバイルUSの約4,500万株を獲得する。SBGはその見返りとしてドイツテレコムの新株を取得。出資比率は4.5%で、独政府に次ぐ第2位株主となる。SBGのマルセロ・クラウレ副社長はドイツテレコムの監査役となる方向だ。
ドイツテレコムはSBGからさらに、TモバイルUSの約2,000万株を追加取得する。同取引の額は最大24億ドル。資金は蘭子会社Tモバイル・ネーデルラントの売却益(38億ユーロ)から捻出する。
両取引が完了するとTモバイルUSへのSBGの出資比率は3.3%に低下することになる。
戦略パートナーシップではSBGの出資先(ポートフォリオ企業)300社以上が欧州、アメリカのドイツテレコム顧客およそ2億4,000万人にアクセスできるようにし、低コストで速やかに事業を拡大できるようにすることを取り決めた。ドイツテレコムはサービスの幅を拡充するとともに、1契約当たりの売り上げや解約率の改善といった恩恵を受ける見通しだ。SBGのクラウレ副社長は「これは、当社のポートフォリオ企業、SBG、ドイツテレコムにとってまさにwin-win-winと呼べる重要な取引です」と意義を強調した。