最大の心配事は増税・給付削減=アンケート

ドイツ人が現在、最も懸念していることは今後の増税と公的給付の削減であることが、保険大手R+Vのアンケート調査で分かった。新型コロナ危機に対処するため国が莫大な財政赤字を計上していることから、増税と給付削減の形で今後、跳ね返ってくると心配している。

R+Vはドイツ語を話す14歳以上を対象に1992年から毎年、インタビュー形式のアンケート調査を実施し、『ドイツ人の不安』というレポートをまとめている。今回は5月25日から7月4日にかけて実施。7月中旬に同国西部を歴史的な大洪水が襲ったことを受け、環境・災害に関する追加アンケートも同月末に行った。調査では不安度を1~7で回答。5以上は「大きな不安」としてまとめられる。

同レポートによると、「増税・公的給付削減」は大きな不安との回答比率が最も高く、53%に達した。これに「生活費の上昇」と「EU債務危機に伴う納税者負担」がともに50%で続いた。トップ3を家計に直結する経済問題が占めている。

一方、「ドイツ経済の先行き」は前年比8ポイント減の40%、「失業」も同9ポイント減の30%と大幅に低下した。コロナ禍の経済的な影響が当初の想定を大幅に下回っていることが背景にある。「深刻な病気・コロナ感染」は3ポイント増の35%に拡大したものの、順位は14位にとどまった。「難民問題」は2ポイント増の45%で4位、テロは3ポイント減の32%で16位だった。

環境・災害に関する質問では洪水被害の前と後で回答が大きく異なった。「破局的な自然災害・極端な天候」を大きな不安とする回答は洪水被害前の41%から被害後は69%へと18ポイント上昇。「気候変動」も21ポイント増の61%へと急上昇した。

市民が不安を感じる事柄はその時々の情勢を強く反映している。大きな不安の1位となった事柄を時系列でみると、2011~15年の5年間は「EU債務危機に伴う納税者負担」が続いた。リーマンショックに端を発するギリシャやイタリアなどの財政危機とその解決策を巡る欧州レベルの激しい論争が背景にある。16年と17年はイスラムテロの多発を受け「テロ」が1位となった。昨年は「米トランプ大統領の政策による世界の危険の高まり」が最大の懸念材料だった。

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